2.周波数分周方式のバットディテクター

写真は試作例です。
                 

(1)波数分周方式のバットディテクターには次のような特徴があります。

  チューニング操作なしで広い周波数範囲のデテクトが可能である。

  待ち受け時は無音で、コウモリをデテクトした時のみデテクトした音が聞えるので聞きやすい(*1)。

  変換後は音の強弱がなくなり、一定の音量となる(*2)。

  原音のノイズが一定以上になると変換が出来なくなる(ノイズのみになる)。
 
  音質的には音の大きさの変化が無く、周期の変化するクリック音の連続となリます。

  感度の点では周波数を選択的に増幅するヘテロダイン方式の方が周波数分周方式より優位のようです。

  デテクト後(可聴音となった後)の音は、原音に対して周波数変化幅も分周比に応じて小さくなる。

  分周比は10〜16位の範囲が適当とおもわれる。

  ただし、分周比を10にした場合、1レンジ(レンジ切換なし)では2KHz〜12KHz以上となります。

  一般的に人の可聴範囲は20Hz〜20KHzと言われていますが高い周波数の音は聞きづらいと思われます。
  また高い周波数の音は加齢とともに聞きづらくなる傾向にあります。

  したがって、2レンジ以上に分けてデテクト目標の声の分周後の周波数が人の声に近い300Hz〜4(5)KHz近辺に収まるようにすると聞きやすくなると思います。
  レンジを分けてもデテクト範囲は全域に渡っていますのでLED等で表示をすれば良いし、レンジ切換を自動化する事も可能と思われます。
    
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(*1)
 ただし、コウモリの声が周囲のノイズレベルより大きい場合に限ります。
 比較的近距離まで来ている場合は音程によりある程度コウモリの出している声の周波数を耳で聞き分けることが出来ます。
 この時はヘテロダインには及びませんがある程度コウモリの声の特徴も出ている場合があります。

 コウモリが遠い時は信号(コウモリの声)とノイズのレベル差が無いので無理に感度を上げると雑音が多く入ります(*3)。

 感度を適性にした時は十分にレベルが高くなるまでの間は信号レベルの高い所のみコウモリの声をデテクトする、
 このため原信号から間引きされ、実際よりも低い音程で、且つランダムな感じのクリック音になります。

 必要以上に感度を上げても目的の音が周囲雑音以下の場合はデテクトが出来ないか、雑音が多く聞きにくい状態になります。

(*2)
改良型として原音の超音波信号の振幅に応じて、デテクト信号の振幅も変化する振幅保持式があります。
 
(*3)
マイクで集音されるのは目的とする超音波だけではなく、可聴音から超音波までの広い範囲におよびます。
集音したい音以外をノイズと考えると、風で草が揺れる音、自分の足音、特に草や枯葉を踏んで歩く時は40KHz近辺で大きなノイズが出ています。

(2)周波数分周方式バットディテクターのブロックダイヤグラム