バットディテクターの方式による音の違い
コウモリの声は人の可聴範囲を越える超音波なので、人に聞こえるようにするにはマイクで拾った(コウモリ声)信号に何らか変換をしなければなりません。
変換の方式の違いによって聞こえ方(音質的な)も特徴(波形的、周波数変化的)も次のように違って来ると考えられます。
1.周波数変換(ヘテロダイン)方式の特徴
ローカルオシレターの周波数設定で変換された音の高さが変わる。
入力周波数(こうもりの声)がローカルオシレターの設定周波数から大きく離れているとデテクト出来ない。
主にローパスフィルターの特性で決まりますが、ローカルオシレターの設定周波数から±6KHz〜10KHz位
の範囲と考えられます。
変換後の周波数は可聴音となった後も原音と同じ周波数差が保たれる。
音の強弱も原音と同じように強弱が再現される。
高感度にするとノイズが目立ってくる(S/Nが悪くなる)がノイズの中にもそれなりに原音の変換された音が入るので遠近感の再現が可能である。
周波数の変化と音の強弱に関してはAM放送で音声が忠実に放送されているのに似ている。
2.周波数分周方式の特徴
周波数変換(ヘテロダイン)方式とは違ってチューニング操作なしで広い入力周波数範囲のデテクトが可能である。
待ち受け時は無音で、コウモリをデテクトした時のみクリック音が聞えるので聞きやすい(*1)。
変換後(可聴音となった後)の音は、原音に対して周波数変化幅も分周比に応じて小さくなる。
変換後は音の強弱がなくなり、一定の音量となり原音にあった音の強弱は再現されない。
原音のノイズが一定以上になると変換が出来なくなる(ノイズのみになる)。
音質的には音の大きさの変化が無く、周期の変化するクリック音の連続となリます。
感度の点では周波数を選択的に増幅するヘテロダイン方式の方が周波数分周方式より優位のようです。
(*1)ただし、コウモリの声が周囲のノイズレベルより大きい場合に限ります。
周波数分周方式を実際に試作をして下記のような結果を得ました。
比較的近距離まで来ている場合は音程によりある程度コウモリの出している声の周波数を耳で聞き分けることが出来ます。
この時はヘテロダインには及びませんがある程度コウモリの声の特徴も出ている場合があります。
コウモリが遠い時は信号(コウモリの声)とノイズのレベル差が無いので無理に感度を上げると雑音が多く入ります。
デテクトし始めから十分にレベルが高くなるまでの間は信号レベルの高い所のみコウモリの声をデテクトする。
このため信号レベルが低いと間引してデテクトされ、実際よりも低い音程で、ランダムな感じのクリック音になります。
目的の音が周囲雑音以下の場合はデテクトが出来ないか、雑音が多く聞きにくい状態になります。
上記の1.と2.は相互に補い合うように特長と、欠点があるので1つの装置に2種類の方式を組み込んであるBDも重宝するかもしれません。