速報!
アンテナを3本?備えたテルミンが完成
このほど特許を取得したテルミン(特許第4733228号)にはアンテナ系が3つあります。(従来の2−アンテナテルミンの場合)
1つ目のアンテナ:ピッチアンテナ(P.ANT)
2つ目のアンテナ:ボリュームアンテナ(V.ANT)
3つ目のアンテナ:バランスアンテナ(B.ANT *1)
注*1*ピッチバランスアンテナ
まず最初に見ただけで解るイラスト
4コマで解る BAL..ANT(PAT)の解説
以下の説明では、ボリュームアンテナとピッチ調整回路に関しては省略して説明します。
従来のテルミンではP.ANTにつながる発振回路(P.OSC)との間にはアンテナ整合回路(アンテナコイル、P.coil)があります。
他方の発振回路(R.OSC)にはなにもつながっておりません。
回路図にすると
P.ANT ── P.coil ── P.OSC ──┐
├── MIXer
R.OSC ──────────-──┘
温度変化に対するピッチ変動を少なくするにはP.OSCとR.OSCを同じ回路にすると良い事が知られています。
この回路の場合はP.coilの温度特性がゼロである必要があります。
これはとても大変なことで市販のコイルのなかから探しても無いと言う方が正しいかもしれません。
例えばmoogの場合は分割ハニカム巻きコイルを3ヶから4ヶ直列にして使用しています。
このコイルと同等なものは日本国内では製造も市販もされていません。
根気良く探すとそこそこ使えそうなコイルはありますのでこれを使用して回路で温度変化に対するピッチ変動を少なくすることを考えました。
答えは以下の回路のようにアンテナ(B.ANT)を追加すれば良いのです
P.ANT ── P.coil ── P.OSC ──┐
├── MIXer
B.ANT ── R.coil ── R.OSC ──┘
ここで P.coil と R.coil には同じ物を使用します。
こうすることで温度に対する両発振回路の周波数特性が同じになりピッチ変動が改善されます。
テルミンの演奏環境としてテルミンの周囲1.5m以内には演奏者以外の人は立ち入らない、壁や物を置かないと仮定して、このテルミンを実際に作ると、遮蔽壁(シールド)を中央に挟んで左右の幅が3mのテルミンになります。
演奏に必要な場所の横幅は6m以上必要となります。
巨大なテルミンとなりますので、ギネスに登録するとか、見世物としてはともかく非現実的なテルミンになってしまうので、従来の大きさでテルミンができるようにもう一捻りします。
上記を単純に小型化しただけでは二つの発振回路が干渉してテルミンとして動作しなくなります。
安定に動作させるため、B.ANT を擬似アンテナとして温度特性が良好な微小コンデンサーに置き換えます。
更に R.M.coil とB.ANT をシールドされたケースの中に入れます。
以上により入手しやすいコイルを使用しても温度変化に対するピッチ変動の少ないテルミンが実現きるようになります。
実際に3番目のアンテナ系を内蔵したテルミンを昨年夏に製作して安定動作を確認しています。
3番目のアンテナ系は外からは見えないので外観は従来のテルミンと同じです。
個人的に興味のある方はお試し下さい。
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