ポケット型のラジオ2台で作る簡易テルミン(1−アンテナ)の製作

ラジオ用のICの中には発振回路やMIX回路が入っていてテルミンを作るのに利用できます。
ラジオ用のICはパーツ屋さんで購入できますが\1,600位したりします。
ポケット型のAMラジオは1,000前後で買えるし、プリント基板もそのまま利用できるので好都合です。

ラジオを使用するテルミンは以前にも作りましたがもう少し簡略化して作ってみました。
ラジオを改造しますのでラジオとしては使用できなくなります。
メーカーの修理は受けられなくなりますので、以下は自己責任でお願いします。

「用意するもの」

数ヶの部品を追加するだけなので改めて回路図は描かないで以前に作った時の回路図を参考にしながら進めました



まず主要材料の写真です。


ラジオはP社のAM専用のR-P30を2台使用しました。
アンテナ用にロッドアンテナかパイプも必要です。
AMラジオ1台と姉妹機のFMラジオ1台にするとFMラジオからアンテナをはずして使用する手もあります。
使用されているICは同じでAM部分は部品配置が違うだけなので同じ回路です。

上の写真の他に以下の部品を用意します。

  ポリカーボネートコンデンサー 680P   2ヶ
    温度特性が良いのでポリカーボネートにしました無ければセラミックでも動作します。
    あれば温度保証型の方が良いと思います。

  インダクター  4.7mH
  インダクター  22mH     2ヶ
  マイラーコンデンサー  0.0473μ、 0.0223μ
  セラミックコンデンサー  10P
  抵抗  1KΩ、5.1KΩ
  電池ボックス 3V用
  乾電池 3V(1.5V×2)
    数量の表示の無い部品は各1ヶ


その他に以下も用意します。
  ・木板
  ・プラスチック製ミニバイス(アンテナを固定してテストをするのに便利)
  *ヘッドホン(モノラル)またはイヤホン(モノラル)
  *口径12cm以上のスピーカーの入ったスピーカーボックス
    または同上のアンプ付スピーカー
  ・マイクスタンドまたは三脚
  ・同上用の雌ネジの止め金具

    *印は無くてもとりあえず演奏できます。
      あった方が低音域が演奏できるようになります。
      無い場合は高い音しか聞こえません、ヘッドホンやイヤホンの時は低音域も良く鳴ります。
      音量の上げ過ぎに注意をして下さい。

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「ラジオの改造」

まずラジオのケースを開きます。
電池ボックス内の2本のビスをはずします。
ケースの表と裏側ははめ込み式になっていてはずし難いです。
上側と下側に2ヶ所づつ計4ヶ所、側面はいや品ジャックの下15mm位の位置に左右対称に爪がかみ合っています。
下側に薄いヘラ上のものを差込、次に側面の下側に隙間を作ってヘラをもう一本差し込むとはずし易いと思います。
慎重かつ大胆に開けます、カバーが開いたら30%仕事が済んだようなものです。

(うまく開けられない場合)
最終的には外部に大きいスピーカーを接続するのがお勧めなのでドライバーやニッパーでパチパチとやっても良いのではとも思います。

ケースが開いたら電池ケースとスピーカーへの接続線をはずします。
作業にかかる前にICの名前を調べてデーターシートを入手します。

ほとんどのラジオはデーターシートのサンプル回路図とほぼ同じ回路となっていることが多いです。
データーシートの回路図を手がかりに回路を推定して取り外す部品と追加したい部品の接続場所を確認します。
次のようなICのブロックダイヤだけでも解かるかも知れません。



2台のラジオの一方をピッチ発振器にもう一方をリファレンス発振器として使用します。
リファレンス側はミキサー回路とオーディオアンプも使用します。

1)バーアンテナは不要なのではずします。
  ワックスはできるだけ削り取った方が半田をはずすときに具合が良いと思います。

2)写真のように検波OUTとオーディオアンプを接続しているコンデンサーを1ヶはずします。
  横型の抵抗みたいな型ですが0.47μFのコンデンサーです。



3)発振周波数の変更
  上の写真の橙色のコンデンサーのように2台とも発振トランスの端子間に680Pのコンデンサーを取り付けます。
    改造前はおよそ(880kHz〜1470kHz)、改造後はおよそ(300kHz〜310kHz)
  
4)リファレンスOSC側のバリコンの中央の端子のランドに22mHの片側を半田付けします。
  インダクターのもう一方にICICのAM RFIN端子(10pin)からの線とピッチOSCからの出力を10Pのコンデンサーで接続します。
  
5)AM/FM FEOUT端子(14pin)からコンデンサー(0.047μ)と1KΩを直列に接続してAF IN(24PIN)に接続します。

6)AF IN(24PIN)とアースパタ−ンに5.1KΩとコンデンサー(0.022μ)を並列に接続します。



7)ピッチOSCの発振トランス端子とピッチアンテナをインダクターで接続します。
インダクターは4.7mHと22mHを直列に接続して使用します。


8)基板の改造が済んだらイヤホンジャックにミニプラグ付きコードでスピーカーを2台を並列に接続します。

9)電源接続用の線をつなぎ電池ボックスに接続します。
電池は3V〜6Vの範囲で

10)ケースに入れる前の完成写真です。




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「調整」

テルミンの動作にはアースが必要です。
回路のアースライン(電池のマイナス側に接続されたライン)をコンセントのアース端子やアース棒などに接続して下さい。
アースがしっかり取れていないと正常な動作をしません。

一旦アンテナをはずします。
2台ともバリコンをセンターにします。
カウンターやオシロスコープがあれば波形の確認や周波数をチェックして約300kHzになるように発振トランスのコアーを調整します。

この時スピーカーからゼロビートが確認できれば正常に動作しています。
測定器が無い場合はどちらかのバリコンを回して見てゼロビートが取れるかチェックします。
ゼロビートが取れない時はバリコンを中央に戻してからどちらかの発振コイルのコアーを回してゼロビートの取れる位置に調整します。
両方のコアーを回すと調整が複雑になりやすいのでどちらか片方で合わせて下さい。

ゼロビートがOKとなったらアンテナを接続してピッチOSC側のコアーを少し回してもう一度ゼロビートをとれば完成です。
後はどちらかのバリコンでゼロポイントの調整が可能になると思います。

「使用上の注意と参考情報」
アースが取れない時は”アースの取れない場合の情報”を参考に接続するかアースラインをつかみやすい物に接続して手で持つなどして人体をアース代わりにしても良いです。
人体アースで使用するときは乾電池動作のみとして下さい。ACアダプターで使用すると電撃ショックを受ける場合があります。

ボリュームを上げすぎると音が歪みます、逆用すれば音量を抑えての演奏とボリュームを上げた場合で音色を変えることができる事になります。
またボリュームを一杯上げるとスピーカー部分が共振を起こして特定の周波数で変な音が響くことがあります。
スピーカーは写真のように上向きでなく何かにもたれる様に立てて自分のほうに向けて使用すると小音量でも聞き易くなります。

ポケットラジオのスピーカーは口径が小さくテルミンの発音する音域の低い周波数の方が聞こえません。
できれば口径が12cm以上のスピーカーで使用するのが良いと思います。
ヘッドホンやイヤホンの場合は低い音域の音も良く聞こえます。
簡易型ですが大きいスピーカーやヘッドホンで聞けば3oct位は演奏できそうです。

テルミンを卓上で使用する場合はアンテナは10cm〜20cm位高い位置に固定します。
マイクスタンドや三脚に固定して使用する場合はアンテナを木板に直接固定して使用できます。


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