4.試作2号機 ( Ver2 )
2号機では演奏可能な音域を極力広くすることを試み約6オクターブを確認しました。
しかし広すぎる音域は演奏時のオクターブピッチが狭くなりすぎ演奏がしにくくなってしまいます。
Ver2では約4オクターブ強が適度な音域と考え発振回路とアンテナコイルの定数を調整しました。
今回もアンテナコイルなしの場合とアンテナコイルを調整した時のピッチ特性を測定しました。
グラフ中の青線のマーキングした内側がほぼ演奏しやすい範囲と思われます。
アンテナコイルなしの時の演奏可能な音域はほぼ”2オクターブ+”ですが、アンテナコイルを調整することで
約”4オクターブ+”の演奏範囲となりました。
ここで注意を要することはテルミンの使用環境として半径1.5m以内には演奏者以外の人は入らないことや、
家具なども無いことが重要です。
特に低い方の演奏音域に影響が大きく出ます。
グラフの右端(周波数が低い方)が急激に曲がっているのはテルミンのアンテナと演奏者(測定者)との間の
浮遊容量と、テルミンのアンテナと設置環境との間の浮遊容量、テルミン内部の浮遊容量の影響によるものと思われます。
オクターブピッチ特性 (横軸はアンテナからの距離) ピッチ回路基板とアンテナコイル
注) *1:アンテナコイル
ピッチアンテナとピッチ用発振回路の間に接続されるコイル(リニアライゼーションコイルと呼ばれることもある)のこと。
低音から高音までの各1オクターブ間のピッチ(移動距離・アンテナまでの距離の差)を均等化するための補正をする。
参考
◎試作2号機( Ver2 )で演奏可能な音域を4オクターブ+とした理由
ゼロポイントの調整をした手の位置からアンテナまでの距離、演奏可能な音域の最低音の手の位置@、演奏可能な最高音の手の位置Aの相互の関係から、
@とAの距離(上のグラフの直線の区間))はほぼ250mm位(300mm取れる人は相当身長の高い人)と考えるとオクターブピッチは次のようになります。
4オクターブでは 250/4=62.5mm
4.5オクターブでは 250/4.5=55.6mm
注)実際のオクターブピッチの値はテルミンの設置環境やゼロポイント調整のし方、演奏者の体格などで変わります。
◎最低演奏周波数にはピッチ発信回路とレファレンス発振回路間の引き込み現象が大きく影響をします。
より低い周波数まで演奏するには引き込みを極力少なくすることです。
ただし引き込みがまったく無いとゼロポイントが安定しなくなりますのでサジ加減が仕上がりを左右します。
◎ACアダプターとアースに関する問題点の対策2 試作2号機(Ver1)の補足
テルミンは右手先とピッチアンテナとの間の静電容量(ほぼ10PF以下)を変化させ、この間に流れる高周波電流を変えることで音程を変化させて演奏をします。
このためACアダプターを流れる高周波電流の帰り道が不十分であると音が濁ったりノイズが入ったり、動作が不安定になることがあると試作2号機(Ver1)で書きました。
このことは大変重要なことではありますが結果的にどうでも良い場合もあります、それはテルミンの音をどこから出して聞くかと言う事です。
通常は外部にアクティブスピ−カーを接続しますのでもともと高周波電流の通りにくいACアダプターに依存しなくてもアクティブスピーカのアンプを経由してアースされる効果
の方がはるかに大きい場合が多いようです。
つまりACアダプターを色々取り替えて思わしくない時は相性の良いアクティブスピーカやステレオアンプなどを探してつなぐと良いようです。
それでもNGの時は正式にアースを取るしかないことになります。
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