3台のラジオによるテルミンの動作原理の実験 2013.2.20
今更ですが3台のラジオでテルミンの実験をする方法です。
第1回”テルミンの製作事始め”でも取り上げています。
調整が微妙で勘所が掴みにくかったかも知れません。
今回は解り易い方法を見つけましたので再掲しました。
ポイントは”チューニングインジケーター付のラジオを使うと簡単!”なのです。
初級、中級、上級、特別コースまであります。
更に詳しく知りたい方には個人レッスン(特別講義)も承ります。
お問い合わせ願います。
1)初級編−取り敢えず簡単に試すには
3台のラジオの役割(型は同じでなくても良い)。
音を出すためのラジオ@(中央に置く)は実際のテルミンの混合器とアンプ付スピーカーに相当します。
ここにチューニングインジケーター付のラジオを使うと調整が楽にできます。
必要なもの
左右に置くラジオA、Bはチューニングインジケーターは無くても良く、これらはテルミンにおける2つの発振器に相当します。
Aは固定発振器、Bを可変発振器として説明します
調整−1。
@を中央に置きスイッチを入れ、1000KHz以上で放送の入らない周波数に固定します。
音量は大きめにします。
調整−2。
左側のラジオAのスイッチを入れ、音量を最小にします。
ダイアルを535KHzから1000KHzの範囲で調整して@のインジケーターが光るところを探す。
@の周波数から455KHz(450KHzの場合もある)低い周波数の前後を目安に探すと良いです。
この時ポコッと音が出ます、一旦Aの電源のみ切ります。
調整−3(調整−2と同じ操作をします)。
右側のラジオBのスイッチを入れます(音量は最小)。
ダイアルを535KHzから1000KHzの範囲で調整してインジケーターが光るところを探します。
この時もポコッと音が出る。
調整−4。
再びAの電源を入れます(3台とも電源が入っている)。
Bのダイアルを微調整するとピューなどの音が出ます。
ダイアルを微調整して音程が変化できることを確認します。
この現象がテルミンの発音原理です。
機種によってはこの状態でラジオのどこかに手を近付けると音程が変化する場合もあるそうですが、大抵は内部から線を引き出して外部にアンテナを接続しないと演奏は難しいかも知れません。
2)中級編−演奏できるようにするには
右側Bのラジオに外部アンテナとアースを追加すると演奏できるようになります。
上手く作れば赤いテルミンよりもはるかに安定で弾き易くなります。
材料:
15cm位のリード線、2本、またはワニ口クリップ付のコードを二分する。
外部アンテナ(Φ2〜Φ6mm位)にする金属棒orパイプor太めの電線20〜40cm
アンテナをテーブルから数cm以上上になるように木片などに固定します。
握ってアース電極にする金属棒か、手の平を乗せて演奏できる大きさの金属板or金属蒸着フイルムの端に銅箔テープを貼ったもの。
アンテナ線とアース線の引出し:
ラジオのカバーを開ける、初めての人にはこれが最大の難関かも知れません。
多分電池ボックスの中の止めビス2本位で止めてあります、外側にもビスのあることもあります。
上下カバーは接着されてなく小さな突起と凹みで噛み合っているだけなので根気よくやれば外せます。
強引過ぎるとかみ合わせ部分が壊れることもあります、優しく丁寧に、ここぞと言う時に思い切ること必要です。
破損した時はカバーを閉める時にセロテープで止めるなどして下さい。
リード線をバリコンのAM側OSC端子に半田付けしてダイアルつまみやVRつまみの隙間からケースの側へ引き出します。
カバーを開けたついでにアースパターンを探しこれも外部に引き出してカバーを閉めます。
バリコンから引き出したリード線と外部アンテナをつなぎます。
クリップコードで引き出した場合はクリップで止めれば半田付け不要です。
アース側のリードは演奏する時に手などに持ってアースとできるように金属棒か金属板に接続します。
演奏:
初級編と同様に調整します。
Bを微調整してゼロポイントを探します。
弾いてみて更に微調整します。
アースは握り棒を手で持ったりアルミ蒸着フイルム、金属板などに手をのせます。
ラジオを押さえていた手を離すと音程がずれる場合はずっと押さえていなければならなません。
勘所がつかめたら木版やプラスティック板に両面テープでラジオを固定すると使いやすくなります。
3)上級編−高音域側のピッチが詰まった感じを緩和して演奏音域を広げるには
本物のテルミンのようにアンテナの根元にアンテナコイルを挿入すれば高音側の詰まったピッチを緩和できます。
更に低音域側の間延びしている感じも改善されます。数mH〜10mHの範囲で調整をすればそれなりの効果が表れます。
略式なのであまりがんばると演奏不能になる場合がありますので控えめで妥協するのが良いと思います。
なお、アンテナコイルを追加した場合はアンテナを木やプラスチック等の台でラジオよりも10cm以上高くしないと効果が出ません。
4)特別コース(補講)
なぜAMラジオがテルミンになるか:
ラジオは受信周波数よりも455KHz(450KHzの場合もある)高い周波数の発振器を内蔵しています。
僅かですがこれが電波となってラジオから外に漏れています。
両側のラジオからの電波を中央のラジオで受信、混合する事でテルミンの動作をさせています。
左右のラジオのダイアルの周波数+455KHz=中央のラジオのダイアルの周波数となっています。
演奏している時は左右のラジオの周波数の差が演奏音の周波数(音程)となります。
アンテナコイル:
実際のテルミンetherwaveでは約30mH(初期型では40mHのコイルが使用されています)。
何mHが良いかはアンテナの形状、動作周波数、調整したいピッチ特性の状態(目標値?)で決まります。
但し、コイルの品質が良くないと最適な目標まで調整できません、市販のコイルで単純にインダクタンス値をまねても失敗します。
コイル(インダクター)にはインダクタンスの値以外にも吟味すべき特性があります。
(浮遊容量、自己共振周波数、温度特性、抵抗値・・・などなど他にもあります。)
したがって今回の場合市販の入手しやすいコイルでは数mH〜10mHが限界かと思います。
アース:
アンテナ同様にアースも重要です。
テルミンのアンテナから演奏者の手に流れた電流(極微小)は最終的にテルミンに戻って来なくてはなりません。
テルミンにアンテナを付けてもアースを用いないのは片手落ち(ペケ、落第)なのです、これはどのテルミンにも共通の定めなのです。
etherwaveはアース無しで働いていますと良く言われますがそれはテルミンの動作を良く解っていない人が言うこともしくは説明不足なのです。
確かにアース線としては接続していませんが、ACアダプターの中に高周波を電灯線に流すコンデンサーが内蔵されているので見えない所にアースがあるのです。
一方電灯線は高周波的にはアースと見なされます。
電灯線は柱上トランス(市街地では地下)で片方の線が接地されています。
電灯線は経路が長いので高周波部分は柱上トランスに行くまでに何処かに吸い込まれているかも知れません。
つまりetherwave内部のアース回路はACアダプター〜電灯線を経由して接地されています。
演奏者の方も床を通して間接的に接地されている事になります。
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