テルミンの製作

アンテナコイルについてのたわ言

ラジオでアンテナコイルと言えば受信しようとする放送局の周波数を選局するためのコイルですが、同じようなコイルでもテルミンの場合は働きが違います。
テルミンの場合はアンテナコイル(anntena coil )とか Linearizing coil と呼ばれているようです。
無線の世界ではアンテナと給電線またはアンンテナの途中などに挿入するコイルはローディングコイルと呼ばれるようです。
ローディングにはコイルの他にコンデンサーや抵抗も使用されると説明があります。
送信に最適な長さのアンテナが得られない時にコイルを挿入するとそれよりも短いアンテナを使用できるとあります。

テルミンは楽器であって無線機ではありませんが敢えて見方を変えると超ミニパワーの無線送信機と類似しています。
そこで乱暴ですが数式を用いないで必要なアンテナの長さを考えると以下のようになります。

1)TVのVHSアンテナの一番長いエレメントの長さ:おおよそ 1.5m とします。
  TVの一番低い周波数は おおよそ100Mhz

2)テルミンのピッチ側の周波数は おおよそ300kHz前後

両者を比較すると1000倍の開きがあるので最大効率で電波を送信するにはTVアンテナの1000倍の長さが必要?。
TVのアンテナは水平でテルミンのアンテナは垂直なので半分の長さでよく500倍必要?という事になりそうです。

そこで上述のローディングコイルを挿入すると短いアンテナでもインピーダンスのマッチングがとれる。
しかし極端なローディングは損失も過大なものになっているので送信効率は極度に低いと思われる。


テルミンでのローディングコイル(アンテナコイル)の働きは下のグラフで解るようにアンテナに近い側でピッチが短くなり弾き難い、
遠いほうでピッチが間延びして弾き難い(茶色の線)のを黄色の線やピンク色の線のようにグラフの直線部分を広げて弾き易くするために使用されます。


         
               注:横軸は固定されているのではなく、測定時のゼロポイント調整の状態で変わります。

テルミンの場合のコイルの動作説明を詳しく説明する資料はなかなか見つかりません。
曰く、てこの原理で感度を上げるような効果とか!、上手い説明ではありますが、実際にどうしたら良いのか良く解りません。

直列共振周波数に近いコイル定数で良い結果に近づく傾向にあるようですが、良いコイルに出会わないと上手く行かないようです。

実際にコイルを色々な条件で試し、測定してみて実感できるのは、遠方ではコイルとアンテナとアンテナと手先の間の静電容量が直列共振して発振回路に対する容量変化を大きくする、近距離では共振周波数が少し(3kHz前後)ずれて見かけ上の容量変化を少なくすることで、ピッチの均等性が可能になる。

別の観察では遠方ではコイル端の電圧が高い状態で発振回路に対する効き方が大きく、近距離ではコイル端の電圧が低くなり発振回路に対する効き方が緩やかになる結果ピッチが均等化される。

どちらもコイルについて正しい理論に基づいた説明ではなくあくまでも実感です。

コイルと抵抗を併用すると微妙なところでもう一押しできる場合があり最近ではコイルだけに頼らず抵抗も加えてピッチ特性に抵抗しています(笑い)。

Etheraveの中に貼ってあるアルミ箔はなぜあるの?
ついでにEtheraveのアンテナとプリント基板の間をつなぐ配線の下に貼ってあるアルミ箔についてちょっとだけ考えてみました。
テルミンを自作される人の間で、あのアルミ箔の働きは何だろうと話題になっていたことがありました。
あのアルミ箔は何でしょうね?。
試しにこれをはずしてみるとピッチは大きく変わります。
働きや効果のことはともかく、アンテナとアースとの間で静電容量を形成していることには間違いありません。
見方を変えればテルミンの置いてある部屋の壁が近くに寄ってきたような状態と等価と言う事になります。
やはりこのアルミ箔お存在はEtherwave独特の構造のようです。
ピッチ特性とかゼロポイントの安定性とか推測したり、アルミ箔の効果は気になります。
実験的に試してみることは良いとしても、moog社の秘策であったりするかも知れないので深入りはしない方が良いかも。

そう言えばt−Voxの中を見た時にはアンテナコイルはありませんが、発振回路のコイルに巻き数の多い2次巻き線が巻いてあるようでした。
発振コイルからアンテナへの配線パターンにチップコンデンサーをマウントできるような予備のランドがありました。
これもEtherwaveのアルミ箔と同じような効果を狙っていたのかも、などと思いました。

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